このページを偶然見つけてくれたと言うことは、あなたの大切なお子さんや知り合いの子どもが、僕らの愛娘と同じ病気に罹ってしまったと言うことかもしれませんね。
房室中隔欠損症(ぼうしつちゅうかくけっそんしょう)。
聞きなれない言葉です。
僕も初めてこの病名を聞いたとき、正直意味がわかりませんでした。
しかし、これが現実です。
そしてジェットコースターのような毎日がスタートしました。
何の心の準備もできないうちに・・・
そこで、これからこの病気と向き合っていくことになったあなたに、病気のこと、親の気持ち、子どもの成長などをお伝えできればと思います。
この記事で、あなたの心が少しでも楽になれば嬉しいです。
告知から手術までの気持ちの揺れ動き
愛娘のヒナちゃんが退院して3ヶ月が経ちました。
今のところ順調に成長しています(怖いくらいに順調です)。
僕らの心も穏やかに見守ることができるようになってきました。
それでも、こう思えるようになったのはホント最近のことです。
では、どうやって僕らは気持ちを落ち着かせることができるようになたのか。
その気持ちの動きはこんな感じでした。
喜びから絶望へ
ヒナちゃんは待望の女の子でした。
お兄ちゃん2人も、もちろん僕らも幸せいっぱいで待ち焦がれていました。
そして2016年9月に誕生。
「ベビー服はどうしようか、お兄ちゃんたちのも着れるかな?」
「新生児用のオムツもまた買わないとだね。」
「ヒナちゃんは母乳かな?粉ミルクかな?」
僕らは幸せに溢れていました。
しかし、その幸せも長くは続きませんでした。
担当の小児科の先生から、「心臓の音に雑音が混じっている」と連絡を受けたんです。
その「雑音」はただの雑音ではなく、ヒナちゃんや僕らに今までにない衝撃を与えるものだったんです。
参考:幸せから不安のどん底に突き落とされた日 ~房室中隔欠損症の告知
手術を受けることへの不安
房室中隔欠損症では心臓の手術をする必要があると、そのとき聞かされました。
心臓の手術なんて、テレビドラマでしか観たことがありませんし、まさか自分の子どもが受けるだなんて思ってもいません。
しかも、手術は最低でも2回は受けなければいけません。
修復術と言われる、心臓の弁を修復する手術は人工心肺を使用するため、まだ生まれたてで体の小さいヒナちゃんはこの手術を受けるだけの体力が備わっていません。
この手術をするためには体重が目安の10kgほどにならないといけません。
ただ、それまで待つことは命のリスクを増大させるだけですので、その前に肺動脈絞扼術と言う手術を行います。
これは、肺動脈にリボンのようなものを巻いて、血流をコントロールすると言うものです。
そもそも、房室中隔欠損症とは、心房と心室それぞれの中隔に穴(孔)が開いている病気で、先天性心奇形の約5%を占め、患者の約30%でダウン症候群が認められます。
出産直後の赤ちゃんは肺で呼吸することが少ないため、肺に血液が流れにくい肺高血圧の状態になります。
この時期を過ぎると、心臓の中の穴(心房中隔欠損・心室中隔欠損)を通って、肺にたくさんの血液が流れるようになります(高肺血流)。
その結果、
- 呼吸困難(心不全)
- ミルクが飲みにくくなる
- 体重が増えない
- 心房と心室の間の弁(房室弁)の以上により血液が逆流し、さらに心不全が悪化
と言う状態となり、長期間放置しておくと重症の肺高血圧症となってチアノーゼ(低酸素血症:静脈血が動脈血に混ざるようになって、血液の中の酸素が少なくなる状態)が出現するようになります。
ここまでくると治療が困難になってしまいます。
そのため、早めの手術が必要になります。
参考:房室中隔欠損症の基礎知識
手術をすれば病状は回復へ向かいます。
手術をしなければ命の危険が増します。
しかし、心臓の手術となると合併症などの危険もあります。
そして、ヒナちゃんは女の子です。
手術が成功したとしても、傷跡が残ってしまうことへの不安と罪悪感が僕たちの心にずっと残っていました。
この不安を取り除くために僕らが行ったことは、しっかりと主治医の先生に相談して、今思っていることや不安なことを打ち明けると言うことでした。
- 手術前に聞いておきたいこと
- 手術での合併症について
- 術後の状態の変化などについて
わからないことは何でも聞きました。
手術の内容から1つ1つの言葉の意味まで、主治医の先生はしっかりと答えてくれました。
これだけで、僕らの心はすごく救われました。
房室中隔欠損症を必要以上に恐れる必要はない
肺動脈絞扼術を終えて数日、ヒナちゃんは合併症を発症してしまいました。
心臓のまわりに水(心嚢水:しんのうすい)が溜まる「心膜切開後症候群」と言う合併症です。
アスピリンやステロイドなどによる内科的治療を行いましたが効果は少ししかなく、このままだと退院の目途が立たなくなり、ヒナちゃん自体の心臓にも負担がかかるため、心嚢水を抜く手術をすることになりました。
しかし、これも事前に主治医の先生から説明されていたことから、僕らの気持ちの揺れ動きは少なくすみました。
適切に処置を行ってくれる先生たちに「任せよう」と言う気持ちになれたのも、事前に色々な不安を聞いてもらっていたからかもしれません。
それでも子どもは成長していく
考えれば考えるほど、言いようのない不安は増していきます。
そして悲しみや「どうして?」「なんで?」と言う思いも募っていきます。
しかし、僕らはそれでも前を向いていかないといけません。
可愛い我が子は1日1日、成長していってるんです。
笑顔で生きているんです。
僕らはこの笑顔を守っていかなければいけないんです。
お陰さまで、退院後の体調も良く、母乳もたくさん飲んでくれます。
体重もどんどん増えて、次の手術に向けて体力もついてきています。
ヒナちゃんは僕らの心配をよそに、どんどん成長してくれているんです。
もちろん必要のない風邪などのウィルス感染には気をつけないといけません。
でも、過度な心配は無用と言わんばかりにヒナちゃんは大きく元気に成長を続けています。
僕らが流した自分の涙さえ忘れてしまうほどに・・・
主治医の先生も言っていました。
「これで次の手術までは安心ですね」
「冬の時期の風邪などには気をつけないといけませんが、必要以上に怖がる心配はありません」
今はしっかりと次の手術に向けて体力をつけるべく、いっぱい母乳を飲んで、いっぱい寝て、いっぱい笑ってもらおうと思います。
長く泣かせてしまうと心臓に負担がかかると言うことだけは気をつけないといけませんが、それも次の手術までです。
修復術が無事に終われば、周りのみんなと同じように走ったり泳いだりもできるようになります(注意しないといけないことに変わりはありませんが)。
最後に
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
不安はたくさんあると思います。
生まれたばかりの子ども、しかも心臓病ですから。
僕らもいっぱい涙しました。
でも、必要以上に怖がる必要もありません。
病院の先生や看護師さんたちも優しくフォローしてくれます。
だから、不安に思ったことや悩みは全部、主治医の先生や看護師さんに早めに相談して、自分の中にストレスや不安を溜めないようにしてください。
それだけでも全然心の状態が違います。
心が疲れると体はそれ以上に疲れてしまいます。
僕らが倒れてしまうと、子どもは誰が守るんでしょう?
可愛い子どものためにも、僕らママパパは心と体をしっかりとケアしていくことが必要です。
当サイトでは、ヒナちゃんが生まれてから今までの記録が記事として残っています。
宜しければ今後のあなたの参考にしてみてください。
一緒に頑張っていきましょう。