幸せから不安のどん底に突き落とされた日 ~房室中隔欠損症の告知

家族の歩み

2016年9月

我が家に第三子となる愛娘(ヒナ)が誕生しました。

初めて見る愛しい寝顔、保育器の中で過ごすことになった第一子、第二子のときとは全く違う光景です。

ママの枕元で口をモニュモニュしながら寝ているヒナちゃん。

幸せな時間でした。

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幸せから不安のどん底へ

本当に幸せな時間でした。

でもその幸せはすぐに”雑音”にかき消されることになりました。

突如聞こえてきた”雑音”

帝王切開で術後入院していたママからいつものようにLINEが入りました。

「ヒナちゃんの心臓から”雑音”が聞こえるらしい」

心臓から雑音が聞こえる・・・意味が分かりませんでした。

不整脈?それくらいしか思いつきません。

でもまあ、それくらいだろう。ウチの子に限って。。。

ちょうど明日、病院に行く予定でしたのでそこで詳細を聞くことになりました。

理解はできる、でも気持ちがついていかない

特別な一室の扉が開き、僕らは子どもたちをベビーカーに乗せたまま小児科医の先生の正面に座り話を聞き始めました。

心臓の構造の話・・・

右心房、右心室、左心房、左心室のイラスト・・・

「通常の心臓はこうです」

そして次に見せられた心臓のイラストは、素人の僕が見ても明らかに通常のものとは違うものでした。

「穴が2つ開いています、そして静脈と動脈の血液が心臓内で混ざってしまいます」

そんなこともあるんですね、でもそうなると体にはマズイですよね?

「そして体全体に行き渡る血液のほとんどが肺に流れ、そしてそれは心臓に帰ってきます」

と言うことは、体には血液が流れないと?

「その通りです」

僕らの横ではヒナちゃんがすやすや寝ています。

この子の体に異常があると?心臓に穴が開いてて体中に血液を送ることができないと?

全然意味がわかりません。

いや、意味はわかるんです。でも心がついていかないんです。

隣りで涙を必死にこらえるママを見て、一気に溢れてきた涙をこぼさないように必死に上を向くしかありませんでした。

房室中隔欠損症の告知、そして今後の治療方針

不整脈くらい(不整脈の怖さも知らずに)だと思っていた僕は、一気に現実を知らされることになりました。

「房室中隔欠損症(ぼうしつちゅうかくけっそんしょう)と言います」

僕は怖くて”助かるのかどうか”をすぐに聞くことができなかったので、どうやって治療をしていくのかを細かく聞くことで、自分が安心できるための材料を先生の口から出てくる言葉の中から集めようとしていました。

安心と不安、そして悲しさ

「生まれる子供の中で100人に1人は心臓に疾患を持って生まれてきます」

「房室中隔欠損症は今では珍しい病気ではなくなった」

「術後は普通に生活できる人も多い」

「運動を制限することもほとんど必要ないでしょう」

僕らは少しでも”安心”が欲しくて、先生の発する言葉の端々からどれだけ小さくても安心できそうな材料を聞き逃しまいと必死でした。

先生は続けます。

「手術は最低2回行います」

「1回目は今月中、2回目は体重が10kgを超えるくらいになってからにしましょう」

「1回目は肺動脈にテープを巻き付けて肺への血液の流れを抑えることで体に血液が流れるようにします」

「2回目は心臓に新しい”弁”をつけます」

しかし、2回目の手術を終えても安心はできないんだそうです。

人によっては弁から血液が漏れたり、何らかの不具合が発生する可能性があるので毎年2回は定期検査を行うことが必要なんだそうです。

そして必要とあれば再手術も・・・

ヒナちゃんは女の子です。

開胸手術をすると言うことは、胸に傷が残ると言うことです。

傷跡が原因でいじめられたり、結婚できなかったりしたらどうしよう・・・

ヒナちゃんは女の子なんです・・・

止まらない涙

気持ちを整理し、ママを病院に残し子どもたちと一緒に車で帰宅する途中でした。

バックミラー越しにチャイルドシートに座っている2人を見たら自然と言葉が溢れてきました。

「ヒナちゃん、心臓に病気あるんだって・・・」

「これから頑張るからみんなで応援してい・・・」

言葉の途中で溢れてくる涙で信号が見えなくなりました。

激しい雨の中、無邪気に笑う2人をこれ以上見ることはできませんでした。

お互いの両親には僕のほうから連絡をするとママに約束しています。

自宅に戻り、気を取り直してまずは自分の母親に電話をすることにしました。

自分の母親であれば、途中で言葉にならなくなっても大丈夫だと思ったんです。

後から聞きましたが、母親は僕の大人になってからの泣き声を始めて聞いたそうで、少し動揺していたそうです。

ただ、そこで吐き出せたからかママの実家に電話をしたときには冷静になれている自分がいました。

夕方になって2人にご飯を食べさせる時間です。

いつものようにお話をしながらご飯を食べさせていますが、どうしてもヒナちゃんのことが頭をよぎり涙が溢れてきます。

2人の前では絶対に泣くことはしないと決めていたのに、どんどんどんどん涙が溢れてきます。

どうして泣いているのかわからない様子で、2人は笑いながらご飯を美味しそうに食べています。

「そうだよね、僕が泣いてても仕方ないもんね!」

「うん、家族5人で頑張っていこう!」

僕はまだよかったのかもしれません。

家に帰れば2人のご飯やお風呂、寝かしつけ、洗濯などをして気がまぎらわすことができました。

でもママは病院でヒナちゃんと一緒です。

ママが心配です。

僕らはこれから家族5人で一緒に歩んでいくことになりました。

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