房室中隔欠損症の治療で行う肺動脈絞扼術とは?

房室中隔欠損症の治療や手術

房室中隔欠損症の基礎知識の中でも触れていますが、新生児の心臓が人工心肺での修復術に耐えられない場合、まずは肺動脈絞扼術(はいどうみゃくこうやくじゅつ)を行います。

そこで、ここでは肺動脈絞扼術について簡単に解説し、術前の過ごし方についても愛娘のヒナちゃんの様子をもとにまとめてみたいと思います。

これから肺動脈絞扼術に臨むご家族は参考にしてみてください。

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肺動脈絞扼術とは

房室中隔欠損症のように、静脈と動脈が入り混じってしまうような病気では、全身に比べて血管の柔らかい肺動脈に血液が流れやすくなります。

その結果、呼吸困難(心不全)になりやすく、ミルクを飲むことが困難となり体重が増えなくなります。

この状態のまま長期間放置をしてしまうと肺血管が痛み、重症の肺高血圧症(肺に血液が流れにくい状態)になり、治療が困難になってしまうので(アイゼンメンガー症候群)、そうなる前に治療を開始する必要があります。

人工心肺での修復術を行うためには、手術に耐えられるだけの心臓の大きさになっていることが条件のため(体重約10kg程度)、それに満たない場合に肺動脈絞扼術を行います。

肺動脈絞扼術は「肺動脈バンディング」とも言います。

肺動脈絞扼術の方法

肺動脈絞扼術は、肺動脈(主肺動脈)の周りにリボン状のテープを小さく巻いて、肺動脈を細くすることによって、肺に血液が流れすぎないようにする手術です。

他に異常がない限り、人工心肺を使うことも心臓を止めることもありません。

肺動脈にテープを巻くことで(バンディング)、呼吸困難(心不全)を改善させ、ミルクが飲めるようになり、体重増えて体力もつき、修復術を目指せるようになります。

イラスト引用元:国立生育医療研究センター

肺動脈絞扼術の前の注意点

肺動脈絞扼術を控えて、現在NICUに入院をしているヒナちゃん。

そこでの生活の様子や小児科の先生との会話の中から、手術前に注意するポイントなどが見えてきたのでまとめてみます。

必要以上に泣かせない

赤ちゃんの仕事は「寝る」「泣く」「母乳(ミルク)を飲む」の3つと言われています。

房室中隔欠損症の赤ちゃんは呼吸がしづらく呼吸困難になりやすいため、必要以上に泣かせないようにしています。

泣くと呼吸が乱れ、体力も減ってしまいます。

そこで入院中は絶えず先生や看護師さんが目を配り、泣いたらすぐに抱っこをしてくれるような体制を取ってくれます。

母乳(ミルク)は少しずつ、ゆっくりと

呼吸困難になりやすい赤ちゃんは、母乳(ミルク)を飲むことも大変です。

そのため、1回の量を減らし、回数を重ねて授乳をすることが求められます。

手術までの期間で、体力をつけるためにもなるべく母乳(粉ミルク)を飲んでほしいものです。

しかし、1回の量が少なくてもトータルの量が飲めていれば問題はありません。

その分ママの体力勝負となりますので、パパのフォローが最大限必要になります。

疲れさせず、風邪などの感染症に注意

手術までの間は体調管理が必須になります。

肺への血流を管理するために利尿剤などの投与も始まります。

しかし、手術を受けるためには疲れさせず、体力を温存し、風邪などの感染症などに注意する必要があります。

そのためには、親である僕らが体調管理を徹底し、少しでも風邪気味だったりする場合には面会を避け、体調が万全と思われる時でもマスクは着用して面会することをお勧めします。

そして、頻繁に石鹸で手洗いをし、赤ちゃんに触れる際には必ずアルコール消毒をするようにしましょう。

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