房室中隔欠損症の心内修復術の費用と手術の流れ・内容・合併症について

房室中隔欠損症の治療や手術

先日、愛娘のヒナちゃんが心臓の修復術(心内修復術)を受けました。

生まれてすぐに房室中隔欠損症と診断されて、この大きな手術をすることが一番のポイントでした。

肺動脈絞扼術、その後の合併症による心嚢(しんのう)ドレナージ手術を終えて、本来であればヒナちゃんの体重が10kgを超えたくらいを目安に修復術をする予定でした。

しかし、RSウィルスに感染してしまったために体重の増加が予定通りに望めなくなってしまいました。

ここでは、体重が8kgを超えたところで受けることになった修復術の費用、手術の流れ・内容・合併症についてまとめたいと思います。

※今回の記事は、あくまでも一例ですので、流れや手術の内容などは個々の症例や状態などにより異なります

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房室中隔欠損症の心内修復術の費用

ヒナちゃんが房室中隔欠損症であるとわかって、心臓の修復術を受ける必要があると知ったとき、ネット上で手術について調べましたが費用についてはどこを探してもありませんでした(見つけられなかっただけかもしれません)。

心臓の手術ですから、費用はそれなりにかかることは予想がつきます。

しかし実際には手術を受ける直前になるまで、その費用がどれくらいかかるのかわかりませんでした。

費用は育成医療の手続きのときにわかる

僕らがその金額を知ったのは、病院に育成医療の助成金の申請をするように言われて、医師から自立支援医療(育成医療)意見書を受け取ったときでした。

治療費・入院費:4,110,000円

おおよその予想は当たっていましたが、改めて見るとすごい金額です。

育成医療の申請が認められれば、一定所得以下の家庭であれば、最高でも10,000円だけの実費で手術にのぞむことができます。

育成医療についてはこちらを参考にしてみてください。

房室中隔欠損症で手術をした場合は障害者自立支援医療(育成医療)の給付が受けられます

我が家はこの制度に助けられました。

心内修復術の流れと内容

手術当日は長いようで短い一日となりました。

このときの緊張感、精神的な疲れ、体の疲れ、どれももう一度経験したいとは思いませんが、こうやって記録に残すことで冷静になったときに「後で再確認する」ために記録しておこうと思います。

もしかしたら同じような経験をするかもしれない誰かのためにも。

心内修復術当日の流れ

当日の流れは手術の担当の先生により、前日に説明がありました。

説明の内容、記述する丁寧な文字・絵、すごくわかりやすく約1時間にわたって質問を交えながら聞くことができました。

当日のタイムスケジュール

9:00 手術室へ移動

~10:30 麻酔準備

11:00 手術開始

~16:00 手術終了

17:00 病棟へ移動

後でも触れますが、手術を開始してすぐに前回の肺動脈絞扼術の際の癒着が多くあれば、それを剥離する処理の時間が加わるので、その場合には終了が22時前後になるといわれていました。

結果、ヒナちゃんは予想以上に癒着が多かったのですが、それでも手術は無事に予定通り終わり、病棟に17時に戻ってくることができました。

心内修復術の内容

心内修復術の内容(流れ)は大きく7つに分けることができます。

  1. 胸骨再正中切開
  2. 癒着剥離
  3. 人工心肺装置開始、心停止
  4. 心内修復術
  5. 肺動脈絞扼解除
  6. 自己心拍再開、人工心肺離脱
  7. 止血、閉胸

1. 胸骨再正中切開

これは、前回の肺動脈絞扼術の際に切開した部分(胸骨)を再切開します。

同じ部分を切開するので、新たな傷を作ることにはなりません。

2. 癒着剥離

どうしても手術をした部分には癒着が起こってしまうことがあります。

医師もなるべく癒着が起きないように処置をしてくれますが、それでも癒着は起こってしまいますのでこれはある程度仕方のないこととして割り切ります。

この癒着の程度が多いと、それを剥離する時間が加わるので手術時間がその分だけ長くなります。

3. 人工心肺装置開始、心停止

心臓を手術するので、どうしても一旦心臓を止めることが必要です。

しかし、脳や肺、体全体に流れる血液は維持しないといけません。

そのために使用するのが人工心肺装置です。

心停止させるためには心筋保護薬という薬を使います。

一旦止まった心臓を再開するときには正常な血液を流してあげれば徐々に心臓は活動を再開します。

4. 心内修復術

心内修復術は3つの処置を行います。

  1. 心房中隔パッチ閉鎖
  2. 心室中隔パッチ閉鎖
  3. 共通房室弁の形成

イラスト引用元:国立生育医療研究センター

「パッチ」はシールのようなもので、特殊な布のようなものを使って穴を塞ぎます。

心房には自己心膜(自分の心臓から採取)を使用し、心房にはゴアテックス(人工物)を使用します。

血液が流れ込む心房に対して、血液を送り出す心室には高い血圧がかかるので、自己心膜よりも強度のあるゴアテックスを使用しますが、自己心膜が何らかの理由で採取できない場合には心房に対してもゴアテックスを使用します。

5. 肺動脈絞扼解除

無事に心内修復術が終われば、前回の肺動脈絞扼術で締めたバンドを除去することになります。

バンドを除去して、締めた血管が自然に拡張しない場合には、その部分を切除して縫合したり、切開してパッチ拡大をすることもあります。

6. 自己心拍再開、人工心肺離脱

止めていた心臓を再び動かします。

自己心肺が再開されたら、人工心肺を外します。

7. 止血、閉胸

止血をし、開胸部分を閉じます。

心内修復術の合併症とその対処法について

心内修復術にも合併症の危険性(可能性)はあります。

最初に受けた肺動脈絞扼術にも、その後に受けた心嚢ドレナージ手術にも合併症の危険性はあります。

そこで、手術前に聞いた心内修復術の合併症の危険性(可能性)とその対処法についてまとめます。

出血

もし予想外の出血があった場合には、輸血を行います。

この場合の輸血には、成分ごとの輸血、自己血の輸血(出血したものをクリーニングして使用するらしい)が使われます。

感染

創部(傷口)から感染し、骨髄炎、縦隔炎などを引き起こす場合があります。

この場合は、抗生剤を投与して治療します。

心不全、心筋梗塞

心臓の手術なので、これらの合併症の可能性は仕方がありません。

この場合は、強心剤を使用して治療します。

不整脈

脈が速くなる「頻脈(ひんみゃく)」であれば、抗不整脈薬を使用します。

逆に脈が遅くなる「徐脈(じょみゃく)」の場合にはブロックと言われ、ペースメーカーを使用することになります。

ペースメーカーの使用は「一生涯」の付き合いになるとのことでしたので、これだけは避けたいと切に願っていました。

脳梗塞

脳梗塞の中でも血管の中に小さな気泡ができてしまう空気塞栓(くうきそくせん)の可能性があります。

そうならないために二酸化炭素を使用します。

共通房室弁逆流

心内修復術をしたとしても、共通房室弁逆流が起こる可能性はあります。

ただ、これに関してはあまり問題視してはいないようでした。

胸水、心嚢水、リンパ漏

胸水や心嚢水が溜まってしまった場合、最初は利尿剤を投与して排液します。

ただ、利尿剤の効果がなかった場合にはドレーンで手術を行うこともあります(経験済み)。

リンパ漏が起こった場合には、脂質制限をして対処します(脂質:ミルク、母乳なども)。

これは、脂質を多く摂ることでリンパが増えるからです。

遺残短路

パッチで塞ぎきれなかった穴があることをいい、これが少量であれば自然に閉じてくれるので問題ありません。

ただ、多量な場合には再手術が必要になります。

どうしてこのようなことが起こるかというと、心臓には脈を伝える大切な組織(刺激伝導系)や大動脈弁などが存在し、むやみに強力にパッチを縫い付けることが出来ない場合があるからです。

アレルギー

使った薬などでアレルギーが出る場合があります。

手術から数日経過した現在

今のところ、合併症などの兆候は見られずヒナちゃんは安定しています。

ただ、今回紹介したケースはあくまでもヒナちゃんの場合です。

年齢、症状、体調、その他のコンディションはそれぞれ違うと予想できますので、すべてが同じとは言えません。

それでもこのケース、手術の内容、流れなどを見て、同じように可愛い我が子を心配している人たちが少しでもイメージできたり、安心できたらと思いまとめました。

僕らが手術を受けるときにはこのような情報を見つけられませんでしたから。

上手にまとめてあるとは言えませんが、少しでもこの情報が同じような苦しみ・悩みを持っている人の役に立てるのであれば嬉しいです。

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