肺動脈絞扼術を終えて数日が経過しました。
順調に退院へと進んでいたヒナちゃんですが、少し状況が変わってきました。
心膜切開後症候群を発症してしまったんです。
心膜切開後症候群(しんまくせっかいごしょうこうぐん)とは
心膜切開後症候群とは、心臓の手術を行った後に何らかの原因により、心膜と心臓の間に心嚢水(しんのうすい)と言われる水が溜まってしまう症状を言います。
これを放置しておくと、心臓が心嚢水によって肥大し、全身に血液を送ることができなくなって、重篤な状態に陥ってしまいます。
開心術後に明らかな術後感染症の所見を欠くにもかかわらず早ければ3日目,通常2~3週間後に37.0~37.5℃前後の微熱が持続し,胸水貯留,心嚢液貯留,関節痛,筋肉痛などを伴う.これを心膜切開術後症候群と呼び赤沈促進,CRP陽性,γグロブリン値上昇,血清補体価上昇などを認めるが白血球数は正常あるいは減少,リンパ球増加を認める.原因は不明であるが,化膿菌による細菌感染などは否定的で,ウイルスによる感染が関与している可能性が強い.
大量の輸血による感染性単球増加症,サイトメガロウイルス,コクサッキーBウイルスなどの感染が原因と考えられることもある.したがって外因性免疫疾患の一種ともいえるが,詳細は明らかでない.治療としては抗生物質は無効で,アスピリン,副腎皮質ステロイドなどが有効である.予後は一般的に良好であるが,肺炎,肝炎,腎不全などを合併するとよくない.A-Cバイパス手術*後に本症候群を合併すると,バイパスグラフトの閉塞が起こりやすい.
引用元:ウィキまとめ「心膜切開術後症候群」より
過去にはこんな事例も
初めて聞く症状ですが、担当の先生も詳しく説明をしてくれました。
そして、事前に肺動脈絞扼術の術後に、可能性として「心膜切開後症候群を発症することもある」「そうなったらこのような処置をする」と説明をしてくれていたので、必要以上に慌てることはありませんでした。
とは言え、少しショックでしたが。
僕らの担当の先生たちはとても親切で、説明もしっかりと行ってくれています。
これまでの処置もしっかりと行ってくれていると信じています。
しかし、別の病院では過去にこのような事例もあったようです。
患者は、当時5歳のAくん。
平成13年、静岡県立こども病院にて心房中隔欠損症の手術を受けたAくんは、心膜切開後症候群により心膜炎(心臓を包む膜の内側に水が貯まるもの)をおこしました。
退院後、この心膜炎が徐々に進行し、レントゲンの数値を見ても心臓が拡大していたことは明らかであったにもかかわらず、こども病院の医師は、3回の外来経過観察中にこれを見落としていました。
そして、約1ヶ月半後、Aくんは心タンポナーデ(心臓の回りに貯まった水により心臓が拡張障害を起こし、全身に血液を十分に供給できないという致命的病態)に至り、さらにこれに対して、こども病院医師の対応が遅れたために心停止をきたし、これにより脳障害・多臓器不全が発症し、死亡しました。
引用元:弁護士法人ライトハウス法律事務所「手術後の経過観察及び急変時の診断・治療ミス」より
ぞっとしました。
必要以上に恐れることはよくありませんし、僕らの担当の先生たちは適切に処置をしてくれていました。
アスピリン(消炎剤)とステロイドを使用し、内科的治療を行ってくれていました。
そして、これ以上心嚢水が増えないように水分補給(母乳)も控えることに。
心嚢水を抜く手術へ
しかし、ヒナちゃんは内科的治療の成果があまり得られることがありませんでした。
心嚢水が増えることはなくても、減ることもなかったんです。
そして、そのままでは呼吸が苦しく、症状も改善しないことから、心嚢水を抜く手術を行うことになったんです。
手術当日の朝の電話
「手術当日の朝、もう一度診察をしてみて、水が減っていなかったら手術しましょう」
前日に先生からそう言われていました。
それまで心嚢水が減ることはありませんでしたから、僕らはそのつもりで朝を迎えていました。
数日前から次男の体調が悪く、保育園へは行かずに小児科へ。
その帰り道にヒナちゃんの病院から電話がかかってきました。
「診察の結果、少しずつではありますが心嚢水が減り始めています」
「なので、一旦手術は延期し、数日様子をみましょう」
ヒナちゃんは一時的にですが、手術を免れることができました。
ただ、このまま順調に心嚢水が減るかどうかはわかりません。
もし減らなかった場合には、心臓に負担がかかり、退院することはできません。
まずは3日、どれくらい心嚢水が減るか、焦ってはいけないと思いながらも早く治って欲しいと願う自分もいます。
どうか減ってくれていますように・・・